• 原子力規制庁に聞きました。老朽原発の審査、どうなっているの?編その2 審査のズルを問う

    投稿日 - 2016-05-11 12:42

    こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。

     © 2016高浜原発行政訴訟弁護団

    高浜原発1,2号機は40歳を超える老朽原発であり、廃炉にするのが原則ですが、関西電力が運転期間延長を申請していて、現在、原子力規制委員会が審査中です。

    4月25日、九州、関西などの市民団体*とともに、原子力規制庁に直接、質問をしました。呼びかけを見た市民など50人が集まりました。

    このブログでは、審査でズルが行われていることを指摘した「原子力規制を監視する会」の阪上さんのお話しを、追加説明も加えなから、報告します。

     

    関西電力と原子力委員会のズル

    ズルは、蒸気発生器の耐震性に関わる審査で行われようとしています。

     

    蒸気発生器というのは、蒸気をつくる機械。

    原発は、放射能の核分裂のエネルギーで作られた熱で水を沸騰させ、その蒸気でタービンを回して電気を作ります。(上図)。

    蒸気発生器は、3000本以上の細管があって、原子炉の中で、熱々になった一次冷却水の熱を二次冷却水に伝えて、蒸気を発生させます。高さ20メートル、重さ300トンもあります。

    冷却水の水が細管を流れているわけで、それが漏れて冷却ができなくなれば、メルトダウンを引き起こす可能性もあるという超重要な機械です。

    だから、地震が来ても、壊れてはいけない機械なのです。

     

    ズル1:  揺れが早くおさまることにするズル

    ことの起こりは、東京電力福島第一原発事故のあとに作られた新規制基準のもと、地震でどれだけ揺れるか、の想定を厳しくしたこと。

    以前より、より大きな揺れを想定することになりました。

    数字でいうと、550ガルから700ガルに引き上げられました。

    (ガル:地震の大きさを表す単位の一つで、瞬間的な力)

    そして、蒸気発生器について、揺れがどれくらい早くおさまっていくかについて、これまでは、1%づつしかおさまっていかない、つまり、少しずつしか揺れがおさまらない、と厳しめに想定していました。

    けれども、地震でより大きく揺れると厳しく想定すると、1%という数字を使った計算では、蒸気発生器は大丈夫と言えなくなりました。

    そこで、関西電力は、「1%づつしか揺れがおさまっていかない」としていた想定を、「3%づつ揺れがおさまっていく」に変えたい、と原子力規制庁に言いました。

    つまり、揺れが早くおさまるはずだ、という”楽観的”な想定に変えてしまったのです。

    安全側に立って、1%づつ、少しずつしか揺れはおさまらないものとして、厳しく想定しなさい、というのは基準として決まっていることです。

    本来なら、勝手に「揺れは早くおさまる」と想定する時点で「アウト!」ですよね。

    それなのに、原子力規制庁は、 じゃあ、実際の原子炉と同じ規模で試験して、本当に3%づつ揺れがおさまっていくということを確かめることができればいいよ、としてしまったのです。

    本当と同じ規模で行われる試験は、美浜原発3号機の蒸気発生器で行われます(下図)。

     

    スクリーンショット 2016-05-09 10.08.26.png

    (https://www.nsr.go.jp/data/000140332.pdfより)

    もう一つの試験では、廃炉を決めた美浜原発2号機を使い、蒸気発生器に1.8トンのオモリをゴーンとぶつけるらしいです(下図)。

    下図の台の上に描かれている人形のように見えるのが人間です。蒸気発生器って大きいですね。

     

    https://www.nsr.go.jp/data/000140332.pdfより)

    原子力規制庁は、この試験をすることを前提に3%でもいいことにしてあげようと2月10日に言いました。

     

    ズル2:  確認試験は後でいいとするズル

     

    もう一つのズルは、 原子力規制庁が、その確認試験はずっと後でいいとしたこと。

     

    スクリーンショット 2016-05-09 17.56.07.png



    高浜原発1,2号機の運転期間延長期限は、今年の7月7日。

    この期限内に、原子炉設置変更許可、工事計画認可、運転期間延長認可の3つが下りなければ廃炉にするしかありません。

    (原子炉設置変更許可は、すでに4月20日に出ています)

    試験をして、その結果を元に、工事計画をだして、運転延長の認可をとる...というのが普通の順序に思えますよね。

    それが、3月23日、原子力規制庁は試験をするよ、と工事計画認可の申請書に書けばよい、実際の実験は後でいいよ、としてしまいました。

    新聞記事にもなっています。(こちら


    こういうことでしょうか?(やりとりの予想してみました)

     

    ズルを許さず、廃炉を求める署名にご協力を

     

    私たちの疑問は、設計の妥当性は、試験をしなければわからないのではないですか?ということだったのですが、規制庁は、上記の考え方を繰り返し説明するばかり。

    7月7日の期限までに「運転期間延長認可」が下りなければ、関西電力は高浜原発1,2号機の運転期間を延長することができず、廃炉にするしかありません。

    これは、高浜原発1,2号機の運転期間延長認可を7月7日までに間に合わせるためのズルなのではないでしょうか?

    締め切り優先の審査をさせないため、多くの市民の目が必要です。

    スクリーンショット 2016-04-21 14.28.33.png

     福井、関西、東海、首都圏の23団体の呼びかけで、関西電力の老朽原発三兄弟、高浜1,2号機と美浜3号機(福井県)の廃炉を求める署名が始まっています。ぜひ、ご参加ください。今すぐ署名はこちら

    くわしくはこちらのブログをごらんください。


     

    *主催団体:川内原発30キロ圏住民ネットワーク/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/グリーン・アクション/美浜の会/FoE Japan/福島老朽原発を考える会/原子力規制を監視する市民の会/グリーンピース・ジャパン

    この日、原子力規制庁への質問で、九州電力の川内原発をなぜ止めないのか、についても質問しました。その様子はこちらから>>


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